届け物を探して
※この記事は2019年9月28日に投稿されたものです
いつもと違う朝は、少しだけ私の心を踊らせる
少しだけ早起きをして 少しだけいつもと違う格好で
いつもと違う街に向かう電車に乗る
九月の空はもう鮮やかな青ではないし、風も力強くはない
季節が変わったことを私はあと何回感じることができるのだろう
過ごしやすくなった季節は 新しい顔を見せ始めていて
今朝も可愛いアナウンサーが季節の味を伝えていた
目でもなくて 肌でもない
いつもと違う街で いつもと違う世界を感じたくて
私は秋を探しに行った
手のひらに収まるスマホには秋を告げる文字が踊る
その一つ一つを目で追いながら
派手な色のプラスチックかごに秋を詰めていく
秋味なんて言葉は医学書に載っていないから
きっとどんな味だって秋味なんだと思う
だから私が思う秋を届けたいと思う
洗う
切る
飾る
いつもは面倒だと思うことでさえ 少しだけ顔を変える
誰かを想いながら詰めた秋が届きますように
いつもと少しだけ違う秋を 想いを込めてテーブルに並べた