強烈か?真面目か?文化醸成のバランサー、文化村に問う「iCARE文化の危機」
iCAREは先日2月7日に資金調達を発表しました。このOfficial noteでは「シリーズEの舞台裏」というマガジンの中で、これまでと比較したiCAREの変化や今後についてCxOより投稿してきました。
この記事では、組織やカルチャーについてCOO石野が書いた「iCAREの大事にしたいカルチャーとは」という記事の内容に対し、iCAREのカルチャー創りを担っている文化村のメンバーよりアンサーnoteとしてお送りします。
TOP写真左から、
青木隆之:Design本部マネージャー 2018年12月入社、3代目文化村
小川剛史:Marketing Branding Unit マネージャー 2017年12月入社、2代目文化村
堀部花菜:Service Consultation部 Community Creationチームリーダー 2020年4月入社、5代目文化村
中野雄介:取締役CRO 2015年11月入社、初代文化村(旧イベント実行委員会)
iCAREのカルチャーで自慢したいところ
溝呂木
今日は歴代文化村のメンバーに集まってもらい、文化のリアルについて聞いていきます。
中野
僕は確か「文化村」というより、その前身である「イベント実行委員会」ですね。そう言う意味では初代ですが。当時は、今の文化村と違って、今コーポレートチームが担っているキックオフ(合宿)の準備などが役割のメインでした。社員数も10人いない頃ですね。
溝呂木
そうだったんですね。歴代の役割の変化なども聞いていきたいところですね。まずは、青木さんに。3代目ですね。iCAREはよく「カルチャーが濃い」と言われますが、そんなカルチャーの中で自慢したいことはありますか?
青木
カルチャーかぁ…。色んなカルチャーがあると思いますが、僕が一番大事にしたいと思うのは、「”カルチャーを大事にすること”を大事にする」というスタイルです。自分のこれまでの経験や他の会社を見ても、カルチャーってすごく形骸化されやすい。どの会社も、事業成長が一番大事なので、カルチャーがどうしても後回しになってしまうんですよね。
その中で「なぜiCAREが文化村を作り、カルチャー作りの権限を持たせて実行しているか」というと、会社としてそれだけ大事だと認識しているからだと思います。それを蔑ろにしてしまうと、事業成長の足を引っ張り、離職にも繋がりかねない。例えば、それなりに会社での楽しい思い出があったら、辞める時に思い出すじゃないですか。そういったことも僕なりに思っています。
例えば、カルチャーは楽しいイベントだけではない。開発部の合宿とかも立派なカルチャーです。皆でご飯を食べて温泉にも入って、「仕事も+αも全部楽しかったよね」みたいなところ。タスクだけの関係上になるとそういった思い出や繋がりは出来ないですし、粘り強さにもならない。会社がある程度、そういったカルチャー醸成にもお金も時間も投資しても良いので大事にしてくれよ!頼むぜ!と言ってくれている、それが一番大事だと思ってます。
小川
今でこそ文化村がきちんと動いてはいますが、僕ら(2代目)の時は、ぶっちゃけカルチャーを作るぞ!というよりも、カルチャーの前段階の「整備する」ということが多かったかな。風通しの良いコミュニケーションを取るためにどうしたら良い?という話をみんなで考えたり、今も続いているシャッフルランチとかもそうですね。
当時はそういった仕組み作りのことが多かった。タカちゃん(青木)のあたりから、今話したような「カルチャーを大事にする」ために文化村として何をする?というのが、より鮮明化したんじゃないかな。
堀部
私は5代目なんですが、一番衝撃を受けたのが「社員がクレドとバリューを何も見ずにすぐ言える」というのが衝撃でした。採用面接やホームページでも謳うけど、実際にオフィスを歩いてる普通の一般メンバーがさらっと言えて、業務の目標にも入れて、それで1on1でも会話をする。信じられないくらい衝撃でした。よく「iCAREのカルチャーは強烈だ!」と話題になりますが、他社には無い文化や空気感だと思うので、これは良いポイントとして自慢したい。自慢というよりも「ここは他社と違うところです」って言えるところかなと私は感じてます。
人によっては、以前の「バリュー」を言えたりするんですよ。私は変わってからしか知らないから、「変わった」っていう事実しか知らないんですが、「前はこうだったけど新たにこうなった」と言える人がいて、純粋にすごいと思います。これもカルチャーの強さですね。
中野
メンバーが急激に増えていくなかで、今はさらっと言えない人も多少はいると思うんですよ。ただ、「フタ」「愛」「誇り」ぐらいのキーワードぐらいは皆が覚えてるんじゃないかなと思います。「もしも女子高生がドラッカーの『マネジメント』を読んだら」が「もしドラ」と略されて定着したような、持ち運びやすさみたいなのってあるじゃないですか。
iCAREも同じで、分かりやすいワードで馴染んだという点が一つの要因としてあると思うし、日々よく目にもするんですよね。例えば、毎週木曜に行っている全社定例の中でに「クレド自慢」もそうです。自然と耳に入っていく。
僕は経営者側なので、これまでも意識してやろうよと伝えてきたんですが、人が増え、文化が薄まってきたなという面も感じてはいます。なので、日々目にするか耳にするか自分で口ずさむか、は定着させる意味で大切です。
そういう意味では、iCAREはそういった単語や文面が流通する量が、他の会社に比べて多いんだと思います。それが結果的に「根付いてる」と感じてもらえるのであれば、その流通量が多いからですね。
堀部
よく「ウェットなカルチャー」と言いますが、私が入社した時はフルリモートで、社員の名前と顔が分かり始めたのが入って4ヶ月、5ヶ月経ってからなんですよね。いまいち馴染みきれない中でも、Slackを見てて「この会社は楽しいんだろうな」と感じていた。文面から分かるiCAREというのもありますね。ある意味強烈です。
COO石野のnote「iCAREでこれから大事にしていきたいカルチャー」を受けて、どう感じましたか?
溝呂木
COOが発信している大事にしたいカルチャーも、人によって思いは異なると思っています。皆さんはどう「大事にしたい」と感じていますか?
青木
事業規模も含めて会社のフェーズが変わってきた中で、経営陣や部長から降ろされたものをそのまま受け取るのではなく、新しく入ってきた人達が継ぎ足してカルチャーを作っていくのは大事にしていきたいですね。僕は会社は人で伸びて人で衰退すると思ってます。人によって当然カルチャーも変わるし価値観も変わってくると思うんですよ。これまでのカルチャーに固執せず、新しいものを受け入れてどんどん新陳代謝をしていくのを大事にしたいですよね。
強烈さでいうと、僕は強烈とは思わない。というのも、僕はカルチャーを作る中で、クリエイティブで貢献してきた。開発部が掲げる「デブ・ドリブン」のデザイン、かなり奇抜なんです。ROCKが全面に出ている。一般的な企業であれば普通使われないと思うんですが、iCAREではそのまま出してもらえた。iCARE体操とかもそう。自分が思い付いてやって、楽しんでる。それを傍から見てどう見られるかは分かんないですけど、もっともっと強烈でいいんじゃないの?最近控えめすぎないか?何にそんなにびびってる?と思うくらいです。
中野
SNSを見ると、iCAREメンバーは一般的に「会社の名前を掲げてる人達があまり発信しないような内容」が多いかもしれない。会社としては自由にどうぞ、としているので、外から見た時にそれが強烈に見える。他と比較じゃないですか。強烈っていうのはある意味比較でしかないから。比較的に見ると、ちょっと希少性が高いぞ、みたいな。ちょっと希少的な会社だぞ、みたいな感じに見られるんじゃないかなって感じはしますけど。
過去に僕が取締役に就任した際のプレスリリースなんて、この写真で出せるのはiCAREしかないと思いますよ(笑)
それこそ最近は会社が大きくなるにつれて僕の立場からすると中々自由には出来なくなってきましたが、そんなのに屈して面白くない会社にはしたくない。そうするためにも、これからも僕が先陣を切らないとだめだと思ってます(笑)
小川
僕は、少し観点が違って、文化村ってメンバーに色々配慮してると思うんですよね。何かの取組みやイベントをやりましょうという時に、「このやり方をした時に、もしかして誤解を受けてしまう人がいるんじゃないか」や、「このイベント、参加しづらい人がいるんじゃないか」といった話です。これはそれぞれの文化村のメンバーの中で良い議論がされているはず。
ただ、今後iCAREが大きくなった時にすみずみまでに行き渡らないから「こうしよう!」と強く発信することばかり目を向け過ぎないっていうバランス感覚は大事。社員が自主的に動いている文化村だからこそ、しっかり担保していってもらいたいなと思う。
堀部
5代目として、私も同意見ですね。5代目はちょうどコロナ禍ということもあり、コロナを気にする度合いも人によって温度感は違うし、リモートの方も増えて「オフィスにいない方も上手く巻き込むにはどうしたら良いか」とかを特に気にしてました。
先週もとあるテーマでお話しをする会を設けたんですが、なるべく皆が参加出来るようにするにはどうしたら良いかみたいな議論は確かに今でもやってますね。
急激に拡大する組織、今感じている課題とは
溝呂木
この話、急激に従業員が増えていく中での組織運営の課題につながるんだろうな、と感じてます。勤務形態も多様化してきて、メンバー数も124名にまで増えた。その中で、文化の継承やもともとあったカルチャーが薄まっていくという話は、経営陣やメンバーも関係なく、様々なところで出るようになってきた。そんな中で、経営陣でもある中野さんから見て感じる課題はどのあたりですか?
中野
こういうとちょっとおかしいんだけど、ある意味「山田洋太が増殖出来るのか」みたいな、経営陣が増殖出来るのか?というのが大事だと思うんですよね。例えば、これまでは経営陣とそうじゃない方との2階層だったのが、組織が大きくなるとその間が入りますよね。3階層、4階層と、どんどんその階層間が空いてくる。
例えば文化の象徴が経営陣だとすると、その文化からどんどん遠ざかっていく。そこの間の結節点になる人達が、山田洋太になれるか、石野良朋になれるか、中野雄介になれるか、みたいなところですかね。
文化の継承をピラミッド型組織にきちんと浸透させられるかどうか。そこが大切だと思います。が、面白くないな、回答が!何かもっとキャッチーでいいんだよ!堅苦しくなく!Slackスタンプ作るとかどうですかね?実はフタとか無くないですか?フタとか愛とか。
溝呂木
あるんですよ。
中野
そうだった…。浩司さん(CFOが)最近作ったんですよ。意外とこれまでそういったのが無かったんですよ。例えばセールス&マーケチームだったら、チームクレドの「いいぞ、もっとやれ」のスタンプがあるんですけど、僕は何かにつけてそれを押すようにしてます。これってカルチャーの象徴でもあって、こういったクレドやバリューが出てくるシーンって大体誉めるシーンなんですよ。一部叱るシーンもありますけど、「それはフタしてなくて良いね」みたいなことを言うことが多い。そういった、クレドやバリューに紐づけて誉めるというのが大切な気がしてます。って結局、日々の中で目や耳にする機会が多いかどうかですね。ってまた真面目なこと言ったなぁ(笑)
真面目って良くないと思うんですよ。文化の継承において。ふざけないとだめだというか、軽々しく扱ってほしいんですよ、逆に言うと。「重きものだ」みたいなすごく高尚なものでもなんでもなくて、もっと軽々しく扱って身近なものに感じてほしい。
小川
大事だね。クレドの話で、僕も普段から皆が気楽に「フタ」って言うのを聞く。今はクレドを業務の中で真面目に扱われているけど、もっと気軽に扱ってもらった方が良いんですよ。従業員が増えてきて、気軽に「フタ」とか「プロ」という言葉を扱っている会話を聞く瞬間すら少なくなってるかもしれない。
文化が醸成出来てますっていうブログって、多分どこでも出してると思うんですけど。「文化は危機的な状況にある」って発信も面白いよね。
結構、文化村は代が変わるごとに頑張って危機的状況を脱してる感はある。僕の時はちょうど、10人から30人を超えていくタイミングで、「ああ、変わっちゃった」っていう危機感は当時ありました。別に何がという訳じゃなく、単純に「変わっちゃった」っていう思いだけ。多分、僕が一番そう思ってた気がします。感情でいくと「寂しい」よりも「侘しい」ですね。とはいってもこれはiCAREが大きくなるにあたって避けられないので、受け入れるようにはしています。
文化村が文化情勢を担うメリットとは
溝呂木
会社のカルチャーを作る時に誰がやるかって、大体コーポレートや人事がエンゲージメントとかも含めて担当するんですよね。それがiCAREだと文化村が率先してやる、その良さを教えてください。
堀部
イベント系って、人事がやると「綺麗で本音が出てこない」ようなものが多くなってしまうんですよね。「有志メンバーがやってますよ」とすることで、話しやすかったり参加しやすいのはあるのかなって思ってます。
ちょうどタイムリーですが、5代目の文化村で「急に人が増えて名前と顔が一致しなくなってきたよね」という話が定例ミーティングの中で出てきて、「じゃあイベントをするなら、他の部門とシャッフル出来るような企画が良いよね」という話になりました。これは、有志が運営しているからこそ、今組織で何が起きているのかを気付きやすく肌で感じられる。それを生かせるのが良いところかなと思います。
小川
真面目な話しますね(笑)
よく洋太さんが言うんだけど、人事はカルチャー施策に取り組もうとすると、基本的に平等にやりたがる。施策が多少行き渡らない人がいるんだったらやらない、という判断になりがちなんですよね。経営視点では、資源の集中投下は当たり前ではあるものの、現場とのギャップが出てくる訳で。その解決策の一つが、iCAREでは文化村という構築なのかなと思ってます。
実はトップダウンでの思惑はありつつ、形としてはボトムアップで動く。文化村が主体となってボトムアップで動くことによって「ここに資源を集中投下する」や「今はこのことを話したいんだ」っていうところにぐっと偏って議論ができるし、経営陣からも「今はここに集中します」っていう話を伝えやすい。この流れが出来る組織ってそう多くはないし、文化村が生んだ好循環ですよね。
絶妙なバランス感覚が求められるけど、最終的にボトムアップで「働くひとの健康を創る」ように動いてもらう。情報発信される場所も、会社が「健康になれ」って言うんじゃなくて自発的に健康になるような風にしましょうっていうのがもちろん大事なんだけど。前提に、思惑はトップダウンであるよ、でも動く主体はボトムアップだよっていうめちゃくちゃ難しいこと言ってるの。矛盾してるじゃんっていう。その成功事例として、iCAREが5年間続けてきてるこの文化村の活動なんだと思う。
堀部
真面目だ...!(笑)
iCAREって意外と真面目なんですよね。ノリノリベンチャーに見えるけど、蓋を開けてみると大真面目。この文化村の定例mtgも、きちんと「今日はこの話題について議論をしましょう」と決めて議事録も取っている。大真面目ですよ!
歴代文化村メンバーから新たなメンバーへ
溝呂木
これから益々メンバーが増えますが、新しいメンバーに向けて「こんな風に感じて、こんな風に関わってきてほしいよ」という思いはありますか?
中野
真面目になっちゃうから困りますね。でも、楽しいと思ってほしいですかね。やる側が楽しくなければだめだろうと。
小川
文化村って、「真面目じゃないことに本気で取り組んで良い」部隊ではあるよね。普通の部署の活動はどうしても真面目に取り組まないといけないんだけど、この文化村に関しては真面目じゃないことに本気で取り組みます。本気でお笑いをやりにいくイメージです。ただ、やってる人自身が一番楽しんでほしい。
青木
真面目になった途端に「人事がやるものと変わらない」という話になりそうなので。楽しませることを楽しんでほしい、みたいな感じですね。真面目に言うと。
中野
もう全然ダメだわ。もっと破天荒な感じになりたいのに…。
堀部
良いんじゃないですか?iCAREがそういうフェーズになってきたということですよね。まもなく6代目も就任しますし、どんどん新しくなって破天荒はそのメンバーに受け継いでいきましょうよ(笑)
この写真は新しいiCAREポーズを作ろう!と意気込んでいる写真です。
どこかで見たことのあるようなポーズのような・・・?
ありがとうございました!
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※インタビューの際に、一時的にマスクを外して撮影を行なっておりますが、ヘルスケアカンパニーとして十分な感染対策を講じた上で実施しております。