カンパニーケアの常識を変える。変わらないもので、世界を変える。
※この記事は2019年6月10日に投稿されたものです
iCAREの山田です。
本日、株式会社iCAREはシリーズCラウンドとして、総額5.2億円の資金調達を実施しました。
今回の資金調達を踏まえて、私の想い、そして私たちiCAREがこれから成し遂げていくことを、改めてみなさんに約束します。
「今後10年間、何を変えないのか」
Amazonのジェフ・ベゾス氏は、長期間成功したビジネスリーダーに対して、「今後10年間に何が変わらないかを問う方が、より重要な知見を得られる可能性が高い。」、「何が変わるのかよりも、何が変わらないか。」に注目することが重要だと言っています。
私が8年前に創業したiCAREは、「働くひとと組織の健康を創る。」というVISIONの中で、いくつかのピボットをしながら今のモデルに至っています。
この8年で、働くひとと組織の健康を取りまく環境については、多くのことが変わりました。
ストレスチェック義務化や職場巡視の頻度、働き方改革関連法案など、社会情勢とともにめまぐるしく「変わり続けている」のです。これらに対応することは、社会の"不"を解消するためには不可欠です。
ところが、10年前から変わらないもの、10年後も変わらないものは存在します。
それは、
・病院に行かなくても健康で在り続けたい
という働くひとが、潜在的にでも必ず持っている願望です。
働くひとが健康であるために、もちろんセルフケア(自ら健康になりたいと起こす行動)が重要です。
しかし、健康は失ってはじめて気がつくもの。多くの医療者が病院で感じています、「もっと早く来れば良かったのに」と。
何事もなく生きられるはずだった明日が来なかった人たち。
友人と共に過ごせる楽しい時間を迎えられなかった人たち。
愛する家族が待つ家庭へと帰ることができなかった人たち。
健康を損なってしまったことで、それまで暮らしていた世界が変わってしまい、かけがえのない日々を失ってしまったり、この世を去っていった人々がいます。
みんな気付いてるはずです。
病院に行かなくとも、健康になれる仕組みを創らないといけないことを。
病院に行きたい人はいません。忙しく働いていたり、子供や親の面倒を見ている場合もあるでしょう。病院に行かなくても健康になれる仕組みを創ること、これは10年後も変わりません。
予防医療やセルフケアは、概して健康を押しつけてしまいがちです。昔からそうでした。しかし、自らの意思によって日常の中で実践されるセルフケアだけでは働くひとが健康になれる仕組みにはなり得ません。
iCAREはカンパニーケア(働くひとが健康でいられる場作り)を変えることで、病院に行かなくても健康になれる仕組みを創ることを目指しています。
それでは健康づくりには、カンパニーケアこそがこれからも重要だというお話をしましょう。
働くひと6,000万人の予防医療インフラ
「働くことで健康を害してはならない」
これは、世界共通の崇高な倫理観であり、間違いのない真理です。しかし、それは実現されているとはまだまだ言えません。
仕事とは、誰かの役に立ったり、社会を良くしていくことであったり、自分が成し遂げたいことを実現するものであったり、家族を養っていくためであったり。人生を全うする中で、これほどやりがいがあって時間を費やすイベントは他にないでしょう。
そのやりがいが多いはずの仕事の中で、働くひとが働けなくなる、希望を失うことが多く存在するわけです。
私は産業医として、このような事態に陥ってしまった方々を何度も見てきました。職場での人間関係からうつ病、建設現場での落下事故、高速バスやタクシーによる交通事故、過重労働による過労死など、仕事が凶器と化してしまっているのです。そしてそれらの問題や事故は、本人だけでなく職場という環境によって引き起こされていることも多く存在します。
だからこそ、日本では労働安全衛生法が定められており、企業には労働者の健康を管理していく義務があります。健康を害さないように健康であることを証明すること、これが健康診断・ストレスチェック・長時間労働管理・産業医面談といったカンパニーケアというものです。
健康であることを証明していく過程の中で、労働者の体調不良を早く発見し、対応することが可能になるわけです。原則、体調不良は、ある日突然起こるものではありません。
いわば小さな火種が大きくなっていくことで大火事になってしまうように、職場の環境が悪かったり、健康診断結果が年々悪くなっていたり、長時間労働が継続的に発生していたり、睡眠時の無呼吸が認められたり。
そういった労働者の火種を早く見つけて解消するだけで、起こさずに済んだ不幸な事態はたくさんあるはずなのです。 カンパニーケアさえしっかり為されていれば、労働者が病院に行かずとも解決できることだってあるのです。
だから企業にカンパニーケアが求められる一方で、それらには煩雑で複雑な側面があることも否めません。
人事担当者や産業保健スタッフが、電話やFAXによる健康診断の予約、紛失リスクのあるExcelでバラバラに管理されたストレスチェックや長時間労働結果、紙のまま保管されている産業医面談記録を前に、大変な苦労を強いられることがもはや常識となっています。
健康経営と言う名のもとに経営者がアピールする、「やりたい」だけの健康施策や労働者だけの意見だけがまかり通ってしまうような健康管理は、オールドな健康管理業務なわけです。
その煩雑で複雑、無駄の多い、非効率なカンパニーケアの常識を、カンタンで効率的なものに変えていくこと。これが、iCAREのMISSIONである「カンパニーケアの常識を変える。」であり、日本で働く6,000万人の労働者に対する予防医療のインフラへと進化を遂げていくわけです。
iCAREという船
私はよく、会社を一隻の船に例えることがあります。信じ合える仲間と共に船に乗り込み、険しい航路でも互いを支え合いながら、たどり着きたい目的地へと向かっていく様子が、iCAREに対してもそのまま見立てられるからです。
今回の資金調達を通して、iCAREはさらにMISSION実現へと航海のスピードを上げていきます。自分にフタをせず、仲間に愛を持ち、家族に誇れる仕事をするプロフェショナルな仲間とともに、今日この場でみなさんに約束したことを実現していきます。
一人でも多くの人のかけがえのない明日を守るため、私の想いやiCAREのMISSIONに共感してもらえる人は、iCAREという船でぜひお待ちしております。この広い社会という大海原に向かって、一緒にチャレンジしていきましょう。
カンパニーケアの常識を変える。
変わらないもので、世界を変える。
2019年6月10日
株式会社iCARE
代表取締役CEO
山田 洋太