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世の中には、「分かりやすい話」と「分かった気になる話」がある。

※この記事は2018年8月27日に投稿されたものです

こんにちは、たけCです。
今月はタイムリーな話題がちょうどありましたので、予定を変更してお届けします。

で、タイムリーな話題とは何かと言うとこちらの本のこと。

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人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている
作者: ふろむだ
出版社/メーカー: ダイヤモンド社
発売日: 2018/08/09
メディア: Kindle版

久しぶりに「おもれぇ」と思えた本なのでぜひご一読を。
なぜ、普段は硬派なマーケティング本ばかりをオススメしている僕が、こんな怪しさ満点の人生攻略本を紹介しているのか?というのが今日のテーマです。


ふろむださんの本、結局は何を書いているのかを一言でまとめちゃうと
「認知心理学とか行動経済学を実際の生活・仕事に応用したら、これくらい変化が起こるよ」
ということを実践的に解説してくれてる本でもあります。

もっと分かりやすく言い換えれば、
「人間は錯覚によって生きているんだから、そこんとこ早く気付けよお前ら」
ということです。
(※あくまでたけCなりの感想とまとめです。)

2週間前ぐらいに小難しいテーマをプレゼンしました。

それでですね、思い返すと僕自身も仕事の上ではかなり勘違いさせる力を使っているなと実感したわけです。

特に「勘違いさせる力」を発揮しているのはプレゼンする時。

先日、社内のイベントでマーケティングについて発表する機会を与えられました。
iStudyと名付けられたこのイベントは、毎月開催されている「各部署・役割が持っている共有すべき知識を伝える場」なんですね。そこで僕はマーケターという立場から、「マーケティングってどんな仕事?」というテーマで30分弱のプレゼンをしたのです。


「マーケティングとは何か?」みたいなそもそも論を専門家"ではない"人に教えることってぶち難しいことなんですね。マーケティングを生業としている方であれば首を縦に振りすぎてむち打ちになるぐらい共感してもらえるかと思います。

難しさには2種類あってですね・・・

なぜマーケティングの話をするのが難しいか。

難しさって2つの種類があるんですよね。ひとつは構造的な難しさ。もうひとつが知識量の難しさ。単語の意味そのものを知らないと理解しづらいものとか、過去の歴史を知らないといけないものですね。

このうちひとつめの構造的な難しさは、話し手のレベルによって解消することができます。概略を図で見せたり、分解して順番に説明したりすれば。

ところが、ふたつめの知識量の難しさだけは、話し手がどれだけ手を変え品を変えても、ちゃんと分かってもらおうとするならどこかで知識を身に付けてもらなわないといけなくなります。マーケティング関連の話はこちらになります。

具体的に言うと、
マーケティングを説明しようとしたときにSTPと3Cという単語を避けて話を進めることはできないんです。たぶん門外漢の方にとってはちんぷんかんぷんだと思いますが・・・どれくらい避けて通れないかと言うと、野球のテーマなのにバッターやピッチャーという単語を使わずに話を進めるようなものです。

※STP・・・セグメント / ターゲティング / ポジショニング
※3C・・・顧客(Customer) / 競合(Competitor) / 自社(Company)

知識がないなら、錯覚させるしかない

構造的な難しさは伝え方によってクリアできるが、知識量の難しさはクリアできない。
だからといって難しい話を難しいままで伝えるわけにはいかないので、なんとか分かりやすい話にしたい。

そんな時に僕は「勘違いさせる力」を使ってプレゼンしているんですね。

実際に「マーケティングってどんな仕事をしているのか?」というテーマでプレゼンしたときには、STPも3Cも使いませんでした。それ以外にも、◯◯戦略とか□□ジェネレーションとか、とにかく普段目にしないようなカタカナも英字も使いませんでした。

代わりにすべてをひらがなor漢字に言い換えました。

上にあるスライドをめくってもらうと分かるかと思います。
特に集中的に使っている3つの単語「見つけて、振り向かせて、教える」、
これはSTPを言い換えて、要約して、構成しなおした結果の言い方になっています。

でもね、言い換えて要約して構成し直したら、それはもう別の意味なんですよね。だからSTPを正しく説明しているとは言えないし、これでマーケティングのことが分かってもらったことにはならない。

それでも分かった気にはなってもらえるんです。

なぜ、勘違いさせることをオススメしちゃうのか?

誤解されそうなので丁寧に説明しておかないいけませんね。
勘違いさせる力とか、分かった気にさせるプレゼントとか、それだけ聞くと誤魔化していて詐欺のように聞こえるかもしれません。

まぁ確かに詐欺にも使われる手法なので否定はし辛いのですが、僕はこれこそが正義と捉えています。

なぜなら、何かを人に伝えるためには、どんなに論理的に正しい話を用意していても、どれだけエビデンスが豊富な事例を紹介したとしても、まずは聞いてもらえるor読んでもらえる状況を作らなければ意味がないからなんです。

正しいこと < 分かりやすいこと

人間がもつ錯覚のひとつがこれ。
「人は論理的に正しいことよりも、直感的に分かりやすい方に賛成してしまう」

具体例としてはモンティ・ホール問題が実感しやすいですね。

モンティ・ホール問題とは・・・
1. プレイヤーの前には3つのドア(ABC)がある。
2. 3つのうち2つは外れ、ひとつは1つは当たりの賞品が隠されている。
3. プレイヤーはまずひとつのドアを選ぶ。(まだドアは開けない)
4. 司会者(モンティ)は残り2つのドアのうちひとつを開ける。
5. 司会者は正解のドアがどれかを知っているので必ず外れのドアを開ける。
6. 最後にプレイヤーは選んだドアを変更することができる。
7. この時、プレイヤーはドアを変更した方がいいか?

という確率の問題です。
ちなみにあなたはドアを変更するorしない、どちらが当たる確率が高くなると思いますか?

詳しい解説はググってくださいね。

モンティ・ホール問題では多くの人が論理的に正しい答えよりも、直感的に分かりやすい答えの方に賛同してしまいました。この多くの人の中には科学者や数理学者も含まれており、人がいかに分かりやすさに流されやすいのかを実証する問題になっています。

まずは分かりやすく、次に正しいことを

人は難しいことと分かりやすいことを同時に提示されると、
分かりやすいことが正しいことであると錯覚しがちです。

カタカナやアルファベットの小さな文字で書かれていることよりも、ひらがなの大きな文字で書かれていることのほうが正しいことだと思いこんでしまいます。

僕はこうして勘違いさせる力をプレゼンに使うことで、小難しいマーケティングのテーマを分かりやすい話に変えたのです。(ここでもう一度スライドを見直してもらうとカラクリに気づくかもしれませんね。)

でも、大切なのはここから。
今回のプレゼンではあくまで「分かった気になる話」をしただけにとどまっていて「分かりやすい話」にはできませんでした。ちゃんと分かってもらうためにはどうしても一定の知識を知ってもらわないといけないからです。

まずは分かりやすさを重視した話で興味を持ってもらい、次に正しい話で知識を身に付けてもらう。

という順番で仕事も進めていくと、効率的で効果的に世の中に自分たちのサービスを広めていくことができるんだろう。と思ったので、ふろむださんの本をオススメさせてもらいました。

今日はここまでです、ありがとうございます。

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