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高い壁にぶつかった時、またはぶつかった人を見つけた時、どうする?

※この記事は2020年5月7日に投稿されたものです

エンジニアの安田(下の画像のどれか)です。

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今日はスタートアップで働く人、もしくは組織が直面しやすい問題とそれをどう解決すべきかについて思うところを書いてみました。そしてそこを通して自分が真に強いと考える組織像の一面についても考えてみました。(ちょっと偉そうな感じの話題になってしまいましたが、素直に思うところを書いてみました。)

スタートアップで多くのメンバーが直面する困難

スタートアップでは、おそらくその他の多くの組織より多岐にわたる責任、多くの変化、大きな変化にさらされることが多く、そこで働く人の心理的なストレスも、より大きいと思われます。もちろん、その分、チャレンジも大きくやりがいも大きいことになります。

上記は、当たり前といえば当たり前なのですが、スタートアップで働く人、特にメンバー管理に関わる人には、その点に対する配慮が必要だと思います。

困難に直面したメンバーのサポートができるかは強い組織の条件

もちろんメンバー自身がこれらの状況を自力で打開することが最も望ましいと思いますが、状況によってはそれがそんな簡単でない場合もあります。
急激な状況の変化や、そもそも未知の領域に飛び込んで、将来に対する展望を持つことが難しい場合、周囲のメンバーがそれをサポートする必要があると思います。

というか、メンバーがこうした状況に陥ったときに、それを早急に発見して、適切にサポートできるかどうかが個人的には「強い組織」の条件になるのではないかと考えています。

なぜか?

もちろん、いつでもなんでも自己解決できるメンバーだけを集めて構成された組織が一番強い組織かとは思います。しかし、現実にはそのような組織の実現は非常に難しいと思われます。

そうなると、通常、いろいろなタスクにおいて得意不得意の両側面を持った(自己解決できることとできないことの両方を持った)メンバーが集められることになります。

変化の小さい環境では、得意領域だけを前面に出して、不得意領域には触れないで、安定的に仕事をすることも、可能かもしれません。しかし、スタートアップのように変化の大きい環境だと、最初はうまく行っていても、時間の推移と共に不得意領域を前面にして戦うことを余儀なくされることも生じてきます。

メンバーが不得意領域での戦いを強いられたときに、適切なサポートが得られなければ、モチベーションや生産性が下がり、たちまちそれは組織全体の不利益に繋がります。
その一方で、それを他のメンバーがサポートできるのであれば、その不利益を最小化することができます。また、それができるためには、その組織が「柔軟さ」を持っていなければなりません。そして、その「柔軟さ」は人事的な問題に限らず、変化の早いマーケットへの対応や、多様な顧客の要望への対応の「基礎」にもなると考えられます。
逆に言えば、組織が、行き詰まったメンバーを迅速にサポートできないとすれば、それは大なり小なり組織としての「硬直さ」が表面化しているということであり、「弱さ」の顕在化なのではないかと思います。

そうした意味で、困難に直面したメンバーを迅速かつ適切にサポートできることが「しなやかで」強い組織の条件だと私は考えます。

解決困難な課題に直面したメンバーについて

自分がよく見かけるストレスフルなケースとして「慣れない仕事や自分のスキルでは解決困難と思われる質や量の仕事を任せられ、状況を打開する展望が持てない」という状況が挙げられます。

このようなケースに直面したメンバーを見て、よく思うことは、本人が乗り越え難いと感じている高い壁も、その壁を越えたことがある人、もしくは十分な経験を持った人から見ると、実はそんなに高くなかったりするということです。
それが幻影だとは言わないにせよ、大体、他のメンバーからのちょっとしたサポートがあれば解決してしまうことが多い気がするのです。

全体像が見えないゆえに心理的に圧倒されてしまっていることが多いので、課題を整理、細分化し、課題の「本当の大きさ」を見えるようにしたり、課題のうち解決が困難な点(大抵は課題全体のほんの一部)のみを他のメンバーが肩代わりすることで、案外そのメンバーの精神的負荷はグッと下がる気がします。

ただ、それとは別のケースもあります。

経験のないメンバーに実際に過大なタスクが振られてしまっているケースです。これは、それを任せた人の見積もりミス、もしくは不注意だったりしますが、タスクを任せる方も人間である以上、それは往々にして起きることです。
この場合、そのタスクを任せられたメンバーが課題解決できないのは、当然であり、そのメンバーが課題解決できずに自分を責めるのは的を得ていないことになります。

サポートの必要性とその仕方

これらの問題が生じる原因の一つは、メンバーが任せられた課題を「人の助けを借りずに」自分で解決しないといけない、と思い込む、もしくは思い込ませれる、ことにあるのではないかと思います。
もちろん助けを借りたくてもそもそも助けてくれそうな人が見つからない、というケースもあるかとは思います。

いずれにせよ、本人も周囲のメンバーも、自己責任論のような一人称の狭い視野に閉じ込められるのではなく、もう少し高い視点から、起こっている事象を組織的ダイナミズムの中で捉え、プロフェッショナリズムの中で仲間に助けを求める、もしくは助けの手を差し伸べるのが理想だと思います。
そして、メンバーが相互に助け合うためには以下のような視点、スキルが必要なのではないかと思います。

サポートする側では

・課題に苦しむメンバーの立場に立って共感できる共感力、想像力を持つこと
・サポートを必要としている人をいつでも見つけられる視野の広さを持つこと
・長期的な視野でサポートされる人の成長を考慮にいれること

サポートされる側では

・自分の現状の力を認めて、人の助けを借りる謙虚さを持つこと
自己責任や自分のプライドという狭い観点を捨てて、組織の利益という大きな視点に立って助けを求めること
・サポートされたことをネガティブに捉えず、将来の成長の糧とすること
・サポートしてくれた人を別の機会にサポートし返すこと

が必要になると思います。
簡単に列挙してしまいましたが、どれも本当に難しいことだとは思います。

サポートする際の注意

あと、他のメンバーをサポートをする場合、いくつか気をつけなければならない点があります。

一つは、サポートをするのではなく、そのメンバーの「代わり」に仕事をしてしまうことです。
これは、サポートを受ける側の成長につながらないですし、サポートされる人の自尊心を傷つけてしまうこともあります。
とはいえ、ここは非常に難しい点だと自分は考えています。サポートする側もサポートをするうちに、サポートされる人の立場を見失い、対象の業務しか見えなくなってしまい、いつの間にか「代わりに」仕事をしてしまっている、ということはよくあります(というか自分がそれをよくやってしまいます)。
サポートをする際は、常にサポートを受ける人が「成長できるような手助けをする」ように気をつける必要があります。

もう一つはサポートの中で相手の自尊心を傷つけてしまうことです。

サポートする中で
「これは当然できる(知ってる)よね?」
みたいな態度がにじみ出てしまったり、あるいは明確にそう告げてしまうケースもよく見かけます。
そうするとサポートされる人の自尊心は傷つけられ、場合によってはもうサポートを受けたくないと感じるかもしれません。
もちろん、それをバネにして頑張ってほしいという願いを込めて言うケースもあるかもしれませんが、リスキーなソリューションなので気をつける必要があります。

相互に助けあうことはスタートアップに必要な「スキル」

以上のように、スタートアップでは、刻々と変わりゆく状況の中で助けたり、助けられたりすることが、組織として必要であり、かつ組織としての強みとなる、と私は考えています。
ですので、もし助けが必要になった場合でも、それを自分の弱さと捉えて自分を責めるのではなく、自分と仲間の成長の機会ととらえ、適切に助けを求めることが、スタートアップで働く者としての「スキル」なのではないかと思います。
また、十分な経験を持ったメンバーには、高い視座に立ち、部署全体、組織全体を視野に入れて、困難にぶつかっているメンバーを見つけたら、速やかにサポートする体制にシフトしてほしいと思います。
そしてそこを通して、真に強い「組織作り」の「スキル」を磨いてほしいと思います(自分も含めて)。
追記
当然のことですが、他人を助けることに一生懸命になりすぎて、自分の仕事がおろそかになる、ということにならないように気をつけましょうね!(自分も含めて)

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