『THE MODEL』はマネージャーが読むべき、部署横断するKPI作成のお手本(前編)
※この記事は2020年4月30日に投稿されたものです
どうも、たけCです。
今年は例年にもまして巣ごもりGWになりますね。例年であれば、野球だ!カープだ!鯉の季節だ、昇り鯉!と叫んでいる時期なのですが、、、
しかしなんと嬉しいことに我がカープもついに公式YouTubeチャンネルを開設しました。
これまで公式サイトでチビチビ続いていた知る人ぞ知る企画、「はしれ!イオウ」がYouTubeに登場したんです。そうあの井生(いおう)です、松坂世代でキムタクにつづくユーティリティプレイヤーとして重宝されたあの井生です!
どうですか全国6千万人のカープファンのみなさん、これは見逃せないですよね。
なのでまずはカープチャンネルをじっくりと楽しんで、それでも時間が余るようであればぜひ私の記事を読み進めてください。
「本、読め」と言われても、何を読めばいいか分からないiCARE社員へ
弊社代表CEOである山田洋太にはいくつもの口癖があります。その中でも一際大きな声で、何度も何度も口から発せられるフレーズが「本、読め」。
読書。
大切ですね、iCAREでは職種・職位に関わらずすべての採用面接において「勉強が大事」と伝えています。そして、勉強の第一歩は読書からはじまるからこそ、CEOは口酸っぱく言ってるのでしょう。
と・は・い・え、
本を読むことが苦手という人にとって闇雲に読書するというのは苦痛でしょう。
計画的に読書することも苦痛でしょう。
たとえ人からすすめられたとしても苦痛でしょう。
本を読むことの重要性(なぜ読むべきか?)は頭で理解できても、読書で勉強することは正直苦行なのです。
だから、読んでないけど読んだ風になれるブログを書きます。
個人的にひとつの仮説があります。
読書が苦手です。嫌いです。ツラいです。
という方は「本」という媒体が合わないだけであって
「読む」や「学ぶ」はふつうにできるんですよね。
ということは、
「ブログ」という媒体で本を読めば良いのではないか。
もっと言えば、本は読んでないけど読んだふうに語れるブログを書いてあげれば、もうそれは読んだことも同然ではないのか?
そして、
本に書いてある学ぶべきことが事前にわかっている状態ならば、あらためて本を手にとって読むこともできるようになるのではない?
ということで、今月の選書はじめちゃいます。
『THE MODEL』
THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス
作者:福田 康隆
発売日: 2019/01/30
メディア: 単行本(ソフトカバー)
営業の本?いいえ、◯◯の本です。
本書は一見すると「営業」カテゴリに属する本のように思えますよね。
残念、本書の真価は「KPI」にあります。
売上を最大化するための営業活動はいわゆるセールスだけが責任を負うものではないんですね。
人が働ける時間は1日8時間x1ヶ月約20日x12ヶ月=1920hしかありません。この時間を優秀なセールスが地道にあくせく働いて稼ぐ労働集約型の働き方ではなく、仕組み化してレバレッジをかけられる知的労働型の働き方にするための方法が書かれています。
そして、その方法が「部署横断するKPIの立て方」になるのです。
さて目次を眺めてみましょう。
・第1部:アメリカで見た新しい営業スタイル
・第2部:分業から協業へ
・第3部:プロセス
マーケティング
インサイドセールス
フィールドセールス
カスタマーサクセス
・第4部:3つの基本戦略
市場戦略
リソースマネジメント
パフォーマンスマネジメント
・第5部;人材・組織・リーダーシップ
本書の構成は大きく3つに分かれます。
まずは売上を作る新しい形「レベニューモデル」の紹介を、第1部と第2部を通して紹介。ほとんどが著者の経験(Salesforceやマルケト)を語っているだけですので、読み飛ばしてもいいでしょう。
もし、SaaSビジネスに携わっていないなら読んでください。SaaSというビジネスモデルは、中小のIT企業にしか導入できない特殊な形ではなく、不況下において企業収益と顧客満足を両立できるビジネスモデルであることが分かりますよ。
つぎにレベニューモデルを構成する4つのチームの活動内容と組織マネジメントが、第3部と第4部で展開されてます。ここが本書の肝です。
4つのチームとは、
1.マーケティング
2.インサイドセールス
3.フィールドセールス
4.カスタマーサクセス
私はマーケターですので、マーケティングとカスタマーサクセスについては一定の実務経験があるのですが、インサイドセールスとフィールドセールスについては理解が浅い点がありました。
そもそもインサイドセールスに関しては、2017年あたりから普及した概念ですし、まだまだ導入している企業も少ない。
「インサイドとフィールドで分かれているけど、従来の営業と何が違うの?」
「営業って結局のところ売上目標を達成するかどうかが成果指標でしょ?」
という考えの方も多くいるはず。
第3部は自分が所属する部署に限らず4つのチームすべてを一読してみてください。
えっ読むのがめんどくさい?
それでは私が勝手にチームそれぞれの特徴をまとめておきました。
マーケティング
新しいレベニューモデルにおいて、マーケティングの評価指標は2つになります。
1. 何件の新規リード(見込み客のコンタクト情報)を獲得できたか
2. 何件のリードの育成状況を客観的指標で計測できるか
リード獲得はメールアドレスなどの連絡情報を取得します。例えばiCAREでは以下5つの情報が揃ったらリードとみなしています。
会社名
部署名
担当者名
メールアドレス
電話番号
メールアドレスだけでなく部署名や電話番号が必要な理由は、「このリードが将来Carelyを導入する可能性があるのか?」「これからアポを獲得するにあたりどのようなアプローチが有効なのか?」を判定できるようにするためです。
こうして獲得したリードのうち、見積り依頼やサービス資料をダウンロードしたリードであればインサイドセールスが電話をかけるだけでアポが取れたりします。
しかし、1度のアクションではアポがとれなかったリードや過去に一度失注しているリードに対してリード育成をしかけることもマーケティング領域の活動です。
その際、対象のリードが今どれくらいの育成状況なのか?を客観的指標で計測できるような仕組み作りが必要になります。
たとえば、
・メルマガのリンクをクリックして導入事例を見た
・展示会や共催セミナーに参加していた
・DMを送ったら電話で問い合わせてくれた
といったリードの行動履歴を計測することで、「そろそろCarely導入を検討はじめているのでは?」とマーケターもセールスも誰もが判定できるようします。
そしてこれら育成状況の指標を自動的に集計し、対象リストを抽出したり自動的にメールを送信することで業務効率化を叶えるのがMA(マーケティングオートメーション)ツールなのです。
こちらiCAREのデジタルマーケメンバーが書いたブログも参考にしてください。
インサイドセールス
まだまだ導入されている事例が少ないインサイドセールス。導入してみたものの成果をあげられなかった事例も聞くようになりました。
どういった仕事内容がインサイドセールスなのかについては、iCAREのインサイドセールス立ち上げメンバーがブログにまとめてくれています。
インサイドセールスほど成果指標を評価することが難しいチームはありません。
具体的な評価指標は以下の3つです。
1. フィールドセールスにつないだアポ数
2. アポの商談化率(70%〜80%)
3. 受注商談の受注金額
アポの商談化率とは?
インサイドセールスがアポを設定する際に陥りやすい失敗が2つあります。ひとつは、「会うだけでもお願いします」といった顧客のニーズを正確にヒアリングできていないままアポとしてしまうこと(アポの商談化率は低くなる)。もうひとつは顧客の絞り込みをかけすぎてしまい本来ならば商談化可能だったはずのアポを取り逃がすこと(アポの商談化率は高くなる)。
そのため一定の適正値に収まるような電話ヒアリングやメールでの情報提供を改善し続ける必要があります。
インサイドセールスの評価指標は、本人の営業歴や能力によって3つのうちどれを重視するかが変わってきます。
・営業経験が浅く、電話やメールの行動量が大事にならばアポ数
・フィールドセールスと商談化の基準について話し合えるほど経験をつめば、アポの商談化率
・顧客の期待値調整を行い確かな見積りを出せる熟練者ならば、アポをとった商談の受注金額
マネージャーとして注意すべきは、いづれの指標も客観的な数値計測がしやすい一方で、その数値自体は主観的な判定に基づいている点です。
というのも、商談化率の低いアポであれば量産しやすく、とはいえ商談化するかどうかはフィールドセールスの力量や直感に頼った判断になりがちだからです。
ですのでインサイドセールスを正しく評価するためにはその前段として、
「オペレーションの標準化」と
「成果指標を微調整しつづける」ことが不可欠です。
もしも、オペレーションの標準化や指標の微調整がないままに数値目標のみで良し悪しを判断してしまうと、インサイドセールス本人のスキルが伸びることはなく、正しい商談が作られないために売上も伸び悩んでしまうからです。
フィールドセールス
「フィールドセールスって、要は昔からいる対面営業でしょ。それならKPIなんていらない、売り上げたかどうかで評価すればいいんだよ。」
と考えてしまってるあなた、要注意です。フィールドセールスほど科学しがいのある活動はありませんよ。
ひとつ質問をしましょう。
なぜ同じ商品を同じ営業トークで売っているのに、売れる営業マンと売れない給料泥棒に分かれてしまうのか?
長らく議論されているこの問い。営業マンという職がいつからあるのか定かではありませんが、江戸時代における呉服商は営業マンと言えるでしょう。当時の言い方では商人(あきんど)ですかね。
ということは300年以上たってるのに、売れる・売れない営業マン問題は解決していないとうことです。
しかし、2000年代に入ってから営業の科学は目覚ましい進歩をとげています。その中で分かってきた、売れる営業マンをマネジメント(育成)する方法が「商談のフェーズ管理」です。
たとえばiCAREのフィールドセールスは以下のフェーズ管理を実行しています。
1.アポ(リード以上、商談未満)
2.Carelyで解決できる課題がある
3.担当者が好印象で選定している
4.決裁者に提案している
5.Carelyが1位指名である
6.口頭内示
7.受注(契約締結)
BtoBの場合、商談の席で直接話している担当者の一存でサービス導入が決定することはほとんどありませんよね。どんなに少額な決裁であっても「会社(=上司)に話を通す」というフローが発生します。
フィールドセールスとしての役割は、フェーズを予定通り進めることができるかにかかっています。そうです、最終的に売ることが目的ではありますが、日々の営業活動として意識すべきは「売る」ではなく「フェーズを進める」ことです。
そのため、フィールドセールスのマネジメントでは以下の評価指標を扱います。
・完了予定日のスリップ回数
・フェーズ判定の正確性
・商談日数・フェーズの滞在日数
・ネクストステップの記録
完了予定日のスリップ回数とは?
商談がはじまり具体的な見積りを提示するフェーズに至った場合、「◯月◯日までに受注または失注が判明する」という予定日をたてますよね。これが完了予定日です。そして完了予定日が後ろにずれこんでしまうことをスリップと呼んでいます。
多くの営業マンがあてずっぽうで完了予定日を設定してしまい何度もスリップを繰り返す一方で、正しくフェーズ管理ができるフィールドセールスは的確な完了予定日をいれることができます。
たとえば社内の定例会議や取締役会の日取りをあらかじめヒアリングしていたり、受注後からサービス開始までの手続きでどれくらいの日数がかかるかを明確にすることでクロージングする日を逆算しているからです。
それでは改めて質問をしましょう。
なぜ同じ商品を同じ営業トークで売っているのに、売れる営業マンと売れない給料泥棒に分かれてしまうのか?
その答えがわかったはずです。
カスタマーサクセス(つづきは後編で)
さて、本を読まなくても本を読んだきになれるブログを書こうとしたのですが残念ながらすでにここまでで5300文字を超えてしまいました。
いつもいつも会社ブログを書いては「たけCのは長すぎて読む気になれん!」とお叱りを受けていますので、今回は読みやすいように前編と後編にわけておきます。
本記事では、各部署のKPI(評価指標)の説明をお届けしました。次回の後編では、部署横断KPIの肝である3つのマネジメント戦略まで触れておこうと思います。
それではまた来月お会いしましょう、それでは。