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GoogleやAmazonに負けないテック・カンパニーを作りたい

この度、株式会社iCARE(以下、iCARE)は資金調達を実施しました。その舞台裏として、この記事では、CTO荻野淳也の言葉でiCAREの開発チームについて紹介します。

株式会社iCARE CTOの荻野です。
この度iCAREでは、シリーズEラウンドとして複数の投資家の皆様から19億円の資金調達をさせていただきました。

調達資金の半分はシステムの強化やエンジニアの採用に使われるということが既に明言されています。つまり、CarelyというSaaSプロダクトのベンダーであるiCAREが、テック・カンパニーとして飛躍的に成長することを求められていると解釈しています。
これにはシステムや技術を取り仕切る立場として大変なプレッシャーを感じているのですが、逆に言うと大きな期待をかけていただいている部分でもあり、まさにやり甲斐があるところでもあります。

本noteではCarelyというプロダクトの現在地から、プロダクトや開発チームが今後狙っていくこと、そしてテック・カンパニーとしてどうありたいかという未来について、書いてみたいと思います。

成長と共に変化するSaaSの課題

iCAREでは、企業の従業員様の健康管理を行う企業で働くひとの健康管理を行うCarelyというSaaSプロダクトを開発・運用しており、こちらをお客様となる企業様にお使いいただいています。

2017年に企業の人事担当者の問題を解決することを第一の目標と定めてからは、様々な機能をリリースし、ストレスチェック、過重労働などの各種事務作業負荷を軽減させたり、健康診断の予約業務の工数を大幅に縮小するなど、一定の成果が得られており、開発チームとしてもこれに貢献してきたという自負があります。

ケアリィ5周年インフォグラフィック01


おかげさまでCarelyは現在までに延べ500社以上の企業様にご利用いただいていますが、利用者が増えるのと同時に、当初想定していなかったご要望などをいただくことも増えてきました。

また、Carelyの利用をご検討されている他の企業様が、健康管理システムにはニーズを感じているにも関わらず、ある機能がまだCarelyでは実装されていなかったために導入まで至らなかった、といった事例もよく耳にするようになりました。我々の掲げるパーパス『働くひとの健康を世界中に創る』を実現するためにも、なるべくたくさんの企業様にCarelyを導入いただく、そして活用をしてもらわなくてはならないのは言うまでもありません。

我々も短期・中期・長期それぞれに開発ロードマップを定め、実現のために日々開発業務に邁進していますが、市場が待っている新しい機能をこれまで以上のスピード感で提供していくこと、既にご利用になっているお客様の日々蓄積する要望に確実に応えていくこと、そのためには、開発に携わる我々の行動も質量ともに変化させ、一流のテック・カンパニーとして生まれ変わることが必要です。

そのために今後、力を入れていきたいことを以下の3つの項目にまとめました。

- 徹底した仮説検証
- セキュリティとプライバシー
- デリバリ
の速度

それぞれ詳しく解説していくのでお付き合いください。

課題1. 徹底した仮説検証

Carelyはローンチから6年近くを迎え、地道に強化してきた結果としてプロダクトの規模も複雑になってきました。
初期のCarelyは良くも悪くも「手作り感」が感じられるプロダクトであり、開発初期段階からお客様になってくれていた企業様とは二人三脚という感じで成長してきたので、その過程においてはこの手作り感はそのままポジティヴな要素でした。

開発初期は少数の顧客と濃密なコミュニケーションを取りながら、プロダクト・オーナーが勢いで「えいや」と方針を決めて実装する、それがお客様にとっての価値にピタリと重なる、というようなことも起こり得るのです。
ところが、だんだんとお客様のバリエーションは増えていきます。業界、業種、規模、健康管理に対する熱量などは各企業様によって異なっていて、様々なバリエーションが多次元にわたって出てきます。これまでの様に勢いで方針を決めていては、お客様への価値提供がなされない可能性が出てくるのです。

プロダクトがどんなユーザ体験を提供すべきか?という命題は、本来は非常に回答が難しいものです。それを探るためには、複数の仮説検証を繰り返しながら解を模索していく必要があります。お客様の姿が多様になっていくに従って、これまでの勘のようなものは使えなくなります。セールス/マーケティング、カスタマーサクセス、経営企画室などの各部署と連携しながら、事実に基いた仮説検証をきちんと行う仕組みが必要になってくるのです。

きちんとした仮説検証に基いて開発計画を実行していくためには、SaaSとしてのCarely自身にもそれをサポートする仕組みが必要です。機能フラグや精確なアクセストラッキング、A/Bテストなどを通じて、全員がプロダクトやお客様の状態を把握しやすくするための仕組みを組み込んでいく必要があります。実は現状のCarelyはまだそのための機能が十分ではありません。こちらを機能面・運用面両方でサポートしていくことが必要です。

課題2. セキュリティとプライバシー

次に取り上げたいのがセキュリティとプライバシーです。この2つはどんなに強調しても強調しすぎることはありません。

例えば通販サイトを考えてみましょう。住所やクレジットカード番号、買ったものの履歴などが保護されていなかったとしたら、安心して買い物をする人は皆無です。個人の健康にまつわるデータというのは、カード番号などの個人情報に匹敵するほど、場合によってはそれを上回る程に大切なものです。

昨年行われたはじめての大規模自社カンファレンス 「Carely Sustainable Expo 2021」では私も開発チームを代表して技術課題などを発表させていただきました。そこでもセキュリティ課題をなによりも重視していることを中心に解説致しました。

基本的なセキュリティ対策をきちんと行うこと、既知の脆弱性などに該当し外部からの攻撃を受けないようにシステムを検証し更新し続けていくことなどは大前提ですが、これに加えて各利用企業様に向けてのより高度なセキュリティ対策なども講じていく必要があります。

Carelyが広く利用されていくに従って、よりセキュリティとプライバシーという2つの課題の持つ意味と責任が増えていきます。多数の従業員を抱えるエンタープライズ企業においては特に重視される項目です。近年では、ミスや攻撃などによる情報漏洩のニュースを耳にしない日はないと言っても過言ではありませんが、当然ながら社員数が多い方が情報漏洩のインパクトが大きくなります。また、1,000名、1万名といった大企業では従業員の情報に階層構造が導入されていることが普通で、守るべき情報もそれを反映したものになる必要が生じます。

例えば、Carelyの中心的な利用者は企業の人事スタッフですが、50名の企業で1名の兼任人事スタッフが全ての業務を執り行っている場合と、エンタープライズ企業など多数の人事スタッフを抱え、それぞれが役割を細分化して担当している場合では、行える業務の範囲などが違います。現在増え続けているエンタープライズの導入企業では、従来よりも権限をより細分化して定義できることが重要になります。

Carelyでは大切な情報へのアクセス権限をより柔軟に設定できるための機能をいままさに開発中であり、今年度中に発表することを目指していますが、とにかくこの情報を確実に守るということに対して継続的に最優先で取り組んでいくことが重要であると考えています。

お客様に安心して使ってもらえるための絶対的な基盤であるということ、これを追及していくことが今後のCarelyにとって非常に重要です。余談ですが、こういった観点で筆者がベンチマークしている企業はAppleです。Appleの個人情報を絶対的に保護していくという設計姿勢が、健康という非常にデリケートな情報を扱う上ではとても参考になります。

課題3. デリバリ速度への最適化

様々な仮説検証を繰り返していくこと、その際にも確実にデータを守っていくこと、これらを実現するためには、プロダクト開発チームが意図した機能をお客様のものに届けていく、そのためにかかる時間を最短にしていくことが求められます。

どんなSaaS、どんなプロダクトでも言えることではありますが、機能は企画しただけ、開発しただけでは価値にはなりません。お客様に適切にその機能がデリバリされ、お客様に実際にご利用いただいてはじめて価値となるのです。

Carelyにおいても、今後も多様な要求に答えながらお客様に価値提供を続けていくためには、プロダクトのデリバリ速度を高速に維持し続けなくてはなりません。ですが、6年も開発を続けているとコードは蓄積し、知らず知らずのうちに複雑度は上がっていきます。プロダクトが成長するに従ってそれに対抗するために開発チームの人員も増加し、メンバー1人が理解しているコードの割合なども徐々に下がっていきます。

開発チームの内部でも、あるひとつの機能を実現するためにかかる時間がだんだんと長くなっているという実感があります。これはある意味自然なことです。エントロピーは常に増大し続けるので、対抗するためには強い意志を持った継続的な努力が必要です。

プロダクトのデリバリを高速・高頻度に保つこと。開発プロセス・設計・実装・デプロイ手法など全てをこの目的のために最適化していく必要があります。プロダクト開発には様々なスコープがありますが、デリバリ速度を最も重要なものととらえ、こちらについて最適化を施すことが重要であると筆者は考えています。

具体的な策としては、システムの互いの結合度が低いサブシステムに分割して組織もそれに合わせること、各小チームが自律的に実装できるようにすることなどが考えられます。また、各サブシステムも、他と連携しやすく、拡張しやすい設計にしていくことが求められます。システム全体のアーキテクチャを最適に更新し続けることに注力しなければなりません。

また、DevOps的観点の課題も多数解決する必要があります。Carelyのデリバリまでの時間を短縮するためにはビルドやデプロイなどパイプライン上のタスクの改善が不可欠ですし、DXの追及によって個々人の実装速度も影響を受けます。パイプライン上の全ての工程を高速化していくためにやるべきことが多数あります。

まとめ

以上3点を取り上げました。さて、言うまでもないことですがこれら全てを高いレベルで成し遂げるためには、現在の開発チームのメンバーだけではとても手がまわりません。もっと多くの人に助けていただいて、開発チームを盛り上げていくことが必要です。

例えば、データドリブンで仮説検証を回してくれるサイエンティストはまだチームにいません。いま以上に安全・堅牢なシステムを追及するためのセキュリティ・スペシャリストも必要ですがこれから採用をかけるところです。DX含めDevOps業務を行う人、プロセスを観察して改善するマネージャなども不足しています。もちろん、機能開発を行うソフトウェア・デベロッパーもいくらいても足りるということがありません。

『働くひとの健康を世界中に創る』という我々のパーパスを実現するためにはもっともっと多くの仲間が必要です。ぜひ、こちらのページを見ていただき、少しでも興味を持ったらご応募ください。ちょっと話を聞いてみたい、というようなレベルでもかまいません。

筆者はCTOとしてiCAREの技術面全般に責任を持つ立場ですが、Carelyというプロダクトをテクノロジによってもっとよくしていく、その過程で、GoogleやAmazonに負けない最高の開発組織を作りたい、作らなければならないと本気で考えています。

素晴しい開発組織を擁していることで知られている各企業には、皆、共通の特徴があります。それは解くべき問題が大きいということです。例えばGoogleならば世界中の情報を整理すること、Amazonならばどんなものでもネットで買えるようにすること、などです。我々の『働くひとの健康を世界中に創る』という目的はこれら企業に負けていない、チャレンジし甲斐のある大きな問題です。

現代においては、大きな問題を掲げた会社は必然的にテック・カンパニーとして成功しています。冒頭にも書きましたが、我々iCAREもテック・カンパニーとして飛躍的に成長していく必要があります。カンパニー・ケアの未来を変えるためにはこの方法しかないと確信しています。もちろん、現在地の我々からは遠い、大きな目標です。一緒に挑戦してみませんか。

我々iCAREデベロップメント本部をはじめとする開発チームでは、様々な職種でスタッフを募集しています。DevDrivenという標語のもと、プロダクトも組織文化も開発者から発信すべく日々活動しています。最近、チームのホームページも以前のものからリニューアルしましたのでよかったらご覧ください。

iCAREでは一緒に働く仲間を募集しています。気になった方、是非お会いしましょう!

(デベロップメント本部用のiCARE BOOKです)




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