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経営者と市場・顧客の翻訳者であり、未来の予測を立てる広報の責任とやりがい

2021年11月、弊社の健康管理システム「Carely」が、日本の人事部「HRアワード2021」(主催:「HRアワード」運営委員会、後援:厚生労働省)にて、プロフェッショナル人事労務管理部門最優秀賞に選ばれました。

この受賞に特別な想いを寄せていたのが、マーケティングチームの小川と呉(お)です。今回は受賞の裏側として、受賞から1ヶ月経った今の心境を2人に聞いてみました。

小川剛史 (写真右) 
Sales&Marketing マーケティングブランディングユニット マネージャー
1986年広島県生まれ。
大学在学時から幅広い業種のデジタルマーケティングを手がける。(小売・食品・金融・医療etc)
現職では、企業の健康管理・健康経営についての情報発信を続けており、オンライン記事では月間12万人、ダウンロード資料は延べ2万社が閲覧している。

呉美里 (写真左)
Sales&Marketing マーケティングブランディングユニット 広報PR
1989年福岡県生まれ。メガベンチャーでフリーペーパーの広告営業、健康情報誌の出版社で広告代理店担当、企画、制作ディレクション、広報などを経て2021年2月に専任広報として入社。

悔しかった2020年、努力が実った2021年


溝呂木:まずは受賞おめでとうございます!自社ながらに嬉しいですね。この賞を獲りにいこうと思ったのはいつからですか?

小川:時期としては今年の春先位からです。実は昨年の2020年もエントリーはしていたのですが落選してしまい、次回があれば必ずエントリーするということは決めていました。

Carely(ケアリィ)は昨年から認知度も上がってきて、今回のHRアワード以外も何かしら受賞できるんじゃないかと思っていたのもあり、意識的に狙いに行こうとしてましたね。以前から健康管理システムの中で「人事向けですよ」とはっきりメッセージを出している企業はiCAREしかなかった。最近は競合も発信しはじめてるんですが、2,3年前だと弊社ぐらいしか「人事が使うシステムですよ」とは言っていなかったんです。であれば、健康管理システムとして人事向けのアワードを獲れば、唯一なものとなり、箔が付くだろうと思っていました。

そうなると、人事向けのアワードでどこが有名だろう?と考えた際、一番は今回受賞した「日本の人事部」が主催するHRアワードが、最も人事界隈で良く知っている。かつ、SaaSやHRテックで他社を見た際、このHRアワードのロゴがついていることが非常に多いなと感じていました。

それこそベンチマークしている会社がこの賞を受賞しているので「羨ましい」と思っていましたね(笑)。2020年はHRアワードは受賞できずでしたが、HRプロ主催のHRテクノロジー大賞にて「健康経営賞」を受賞しました。

ちなみにこのHRテクノロジー大賞の健康経営賞はiCAREが初受賞です。HRテクノロジー大賞にノミネートしているサービスが非常にテクノロジーの方に寄ってる並びだったんですよね。その中で人事のトレンドワードに上がってきていた「健康経営」に資するサービスということで、同じテクノロジー大賞でも「健康経営賞」という賞が新たに設定され、それをCarelyが初めて受賞しました。

そういう流れもあり、「やった、これで獲れたね!」という嬉しさと同時に、HRアワードが獲れなかったという悔しさが余計に募りました。

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溝呂木:片方は受賞、もう片方は落選。それはなぜだと考えましたか?

小川:HRテクノロジー大賞もHRアワードも、フォーマットはちょっと違うんですが、メッセージとしてはほぼ一緒のものを出していました。当時の言い方だと、健康診断やメンタルヘルス対策、産業医面談周りをシステム化して、従業員の健康管理を業務効率化していきますよ、といった内容ですね。

当時は人事の業務効率化にフォーカスしていて、名称としては「クラウド型健康管理システム」と言っており、HRテクノロジー大賞では通ったけど、HRアワードは通りませんでした。

今年受賞したHRアワードは、「プロフェッショナル人事労務部門」というサービス提供者側の部門で受賞しました。部門が4種類あるんですが、この他に書籍部門、企業部門といった部門があり、HR界隈で話題になった書籍や企業が表彰されます。

それぞれ選考基準が違い、HRテクノロジー大賞はエントリーしてそれを審査員が選び、点数を付けて決めます。一方、HRアワードの選考は2段階あります。まず、選考委員の方で入賞を決めます。今回387社がエントリーをしており、そのうちの20社が入賞となりました。最終選考は、日本の人事部会員20万人の投票と審査員の点数を総合的に判断し、最優秀賞、優秀賞が決められます。審査員が独断と偏見で選んだというより、この市場から支持されたサービスが選ばれる仕組みですね。

溝呂木:リアルなユーザーの声が反映されたという形ですよね。どんな点が受賞に繋がったと思いますか?

呉:まず、去年落選した理由を分析しました。これまでのエントリー履歴やサイト上での過去の受賞歴などを見て、受賞した企業がどういった内容でエントリーしたのかというところを、徹底的に調べました。iCAREやCarelyで出したリリースや、「売り」になるものはこの1年で一層増えており、それらを照らし合わせて何をどう訴求するか?という点を考えましたね。最優秀賞を狙っていたというよりも、最初からそこしか見ていませんでした。

実際に投票をする会員さんは一般の人達です。文字数が制限されている中で一言一句分かりやすく伝わるよう意識しました。そこがまず出来ていないとそもそも土台に乗らないと分かっていたので。

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小川:率直なところ、実際に表彰式に行き表彰内容を見た際、表彰された人達の共通点に気づきました。今までは人事経営のサービスといったら、人材の獲得に関するところや採用活動など、評価・育成に関するサービスが強かった。今年は、いわゆる「心理的安全性を保つ」であるとか「ウェルビーイング」という、企業の成長だけではなく従業員の成長やプライベートにも重きをおきましょう、という話で受賞した企業が非常に多かったです。

その中で申請する内容として、「Carelyは管理システムですよ」と、「人事労務の業務管理ツールですよ」という表現よりは、「従業員の健康状態にアプローチをかけていくことによって、働きがいのある組織にする」ところまでを見てるサービスです、という言い方にしたので、まさに心理的安全性の話や職場の中に多様性を持たせる話という今のトレンドに上手く乗れたと思っています。昨年まではこの流れはありませんでした。

少し話はそれますが、広報・PRは会社の中で一番色んなものを先どっていて、近未来予想をしていかなければいけないと考えています。
8月より前の時点で、Carelyは効率化のシステムだけではなく、その後ろの部分まで、今で言うと「プロフェッショナルサービス(※1)」と言われている部分までやります、とは明確にしていませんでした。つまり、従業員のデータをしっかり集めることで組織課題が解決されます、という部分までです。

それを、経営陣や代表の思い、更にはプロダクト開発状況を見ていくと、「秋頃にはこういうのが言えてるはず、であればこう表記しよう」と少し先の予測をして文章に入れました。もし過去と同じ内容を今年も書いていたら、恐らく受賞しなかったと思います。

「過去私達はこれが出来ていました」ではなく、「過去これだけの実績がある上で、今ここまで出来るようになりました。この先Carelyを使ってる企業では、これだけ組織が変わるような、働く場所が変わるような未来が待っていますよ」というストーリーを組み立てた。このあたりが評価して頂けたポイントだと思います。

(※1)プロフェッショナルサービス:iCAREが提供するサービスの名称。詳細はこちら

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メンバー全員の力を結集し、PRとして最後の役目を果たす

溝呂木:PRでのストーリーの重要さ、とてもよく分かります。実際に最優秀賞を受賞したと聞いた時の反応はどんな感じだったのでしょうか?

小川:ノミネート自体が8月で、おーちゃん(呉)がその後産休に入ったので最優秀賞の連絡を受けたのは私ですね。突然電話がきて、「何の話だろう?」と思ったら、「小川さん!決まりましたよ、最優秀賞!」と「え、マジ?」っていうのを大声で言ったので、皆が「何だ!?」という雰囲気になりました(笑)

正直、ノミネートされて何かしらの賞に入賞するだろうという自信はありました。導入企業の実績もこの一年間で増えて、ネームバリューのある会社を堂々と書けるようになったというのが非常に大きい。ただ、最優秀賞までいけるかどうかが怪しく、今だから言えますが正直6割程度しか自信はなかったです。残りの4割で「やべー、不安、キツいなー」と思っていました(笑)

しかも、今回労務管理部門のエントリーが、なぜか健康系サービスが多かったんです。「被ってしまうなぁ」という印象でした。だからこそ「健康管理全般が出来ますよ」と言っている僕達が負ける訳にはいかないと思っていて、絶対に負けられない戦いでした。

呉:声を大にして言ってましたもんね。「これ、本気で獲りにいってるし、獲れたら売上変わります」って。

小川:一番はセールスが導入実績を積み上げてくれ、Devが機能を拡充してくれ、CSの活動も強化され・・・と、上げ出したらキリがないくらい会社全体の力を集結してきて、それが評価されたと思います。

最後のひと押しとして、広報がそれを外部にデリバリーし「伝えます」というところで、「完璧に最優秀賞獲るだろうと思えるぐらいの魅力を、僕たちのせいで伝えきれなかったらどうしよう」という怖さのほうが大きかったですね。

呉:「皆があんなにやってくれたのを無下にできない、ここで獲れなかったら…」という思いがずっとありました。

小川:そういった無言のプレッシャーもあるし、かといって「ちょっと獲れないかも」とは言えなかったです。自信を持って良い物だと思っているので。代表からは「間違いなく獲れるよね?」と聞かれ、「獲れます、いや獲ります!」と宣言してましたね。「獲れます」じゃなくて「獲ります」です(笑)

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呉:エントリー文を作ってる時のことを思い出しますね。7月に小川さんと面談をしてる時に、私の仕事が手一杯で回らないと半泣きで相談をしていました。今だから言えるんですが、業務が溢れてしまい大変というのもあったんですが、メンバーが頑張ってるのに、それを伝えきれない、成果につなげられないことの後ろめたさというか、プレッシャーのほうが大きかった。単純に悔しいです、みたいな。でもあれもやらなきゃいけない、これもやらなきゃいけないということもあっていっぱいいっぱいでした。
裏話ですが、重要なリリースが重なったりしていて、このHRアワードの申し込み締め切りが31日の23時くらいだったんですが、ギリギリまで構成練りを粘って粘って10分前くらいに申し込みました(笑)

小川:あったね。PRは成果に結びつくまでに時間がかかることもあり、評価されるタイミングがなかなか無い。例えば「どこかに記事載りましたよ」というのも、やってる本人達は色んな試行錯誤の上でやっと一本掲載されたとしても、「そこから何が生まれたの?」っていうのも見えづらい、直接測れないもどかしさもあります。それが、こうしてアワードという形で返ってきて、皆が「すごいものが獲れた」と思ってくれるというのが、大きな成果と言ってもいいんじゃないでしょうか。

溝呂木:実際受賞した時の社内の沸き方凄かったですよね。実際に受賞式ではどんな話があったんですか?

小川:代表のスピーチでもあったんですが、このHRアワードが始まって今年でちょうど10年目で、iCAREも会社を始めて10年という点がリンクしています。

10年前のことを振り返ると、従業員の健康管理が大事というのを様々な企業に言って回っていたのですが、誰も言うこと聞いてくれなかった。企業の人事部長と話してても、何なら会議の途中で寝る人がいるぐらい、従業員の健康は重要視されていなかったんです。
そこから時代を経てきて、今ではもう注目されることが多くなってきた。

ただ、結局のところ行き当たりばったりの健康管理になってしまっており、それは産業保健そのものが、きちんと固まったスタンダードなノウハウや進め方が存在していないからです。当時の産業医も専門家も言うことがバラバラで、人事の立場から見れば、何から取り組んで誰に対してどんなアプローチをすれば良いかが全く分かっていなかった。
さらにそれが、業界・業種・規模によっても変わってくるということもあり、とても複雑だった。

そんな状況の中にあって、当日山田は「Carelyというのを一つの横軸を通すプラットフォームの手段として使ってもらえれば、働いてる人の健康づくりをしていく指針が見えてくるようになる。今あるマンパワーと専門家、あるいは人事担当者のマンパワーと、システムの力とを合わせることにより、一人ひとりに最適な健康管理、あるいは健康増進策っていうのが提供出来る世界にしていきたい」と言ったんですよね。あの場面ではさらっと一言でしたけど、その言葉の背景にはこれまでの思いが詰まっていた。

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PRのプロフェッショナルとして、最も幅の広い経営者視点と顧客視点の翻訳者でありたい


溝呂木:代表も感無量と言ってましたね。ようやく時代が変わってきたぞ、と。さて、念願叶って最優秀賞を受賞しましたが、今後チームとしてどう活動していきたいですか?

小川:これ難しいんですよね。1位を1回獲ると後は追われる立場になりますからね。

呉:まだまだ先は長いので、広報として見てる時間軸でお話します。例えば数年後に見据えている上場から逆算しても、今回のHRアワードの受賞も一つの点なんですよね。「健康経営」というワードが世の中で出ていても、Carely自体の認知はまだまだ。そんな中で、「HRアワードを受賞した」という事実が、サービスを伸ばすうえで大きなキーとなっているのは感じます。

セールスがお客様と対峙した際、「聞いたことがある」、「そういえばHRアワードで1回話題になってましたよね」のような、商談環境を温めるということが事前に出来るようにしていきたい。今回の受賞がフックになり、各指標に貢献出来るようなことを期待したいと思います。

小川:広報というよりもマーケティング全体に実は言えることではありますが、経営者の一番の理解者でもありつつ、市場やお客様の理解者でなければいけない。その二つの翻訳者のような働きで仕事を進めていくというのが肝心だろうなと感じています。

弊社のクレドの中で言うと、まさに大上段に書いてある「楽しまなければプロじゃない」というところとも関わってきますが、「ブランディングチームで働くプロっていうのはどういう人なんですか」というと、「経営者視点と顧客視点の翻訳者として、最も幅の広い視座をもつ人」というところが、一番のプロフェッショナルとしての働きがいになってきます。これに対して面白いな!と思う人と一緒に仕事をしたいですし、一人だけでこの幅広い視点をもつことは到底無理な話です。だからこそチームで取り組んでいく価値が生まれてくると思います。面白いと思う方、是非一緒に働きましょう!

溝呂木:ありがとうございました!


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(どちらからのエントリーでも歓迎です)

※インタビューの際に、一時的にマスクを外して撮影を行なっておりますが、ヘルスケアカンパニーとして十分な感染対策を講じた上で実施しております。

文:採用人事 らびーこと溝呂木


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