持続可能なSaaSであるか?を問い続けたい。VPoCS遠藤入社インタビュー
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持続可能なSaaSであるか?を問い続けたい。VPoCS遠藤入社インタビュー

iCAREではCarelyの成長に伴い、カスタマーサクセスチームも一気に拡大してきました。9月にCustomer Success & Account Developmentチームの部長として入社した遠藤に今回は迫ります!

遠藤倫生(えんどうみちお)
Customer Success & Account Development, VPoCS(部長)職。大学卒業、大学院中退後、高校教諭、教育系スタートアップを経て映像制作で開業、2013年にサービス業の業務改善、経営支援のSaaS企業の創業に参加、2021年まで取締役、2021年9月より株式会社iCAREに入社。

本気でマーケットに向かう覚悟とは

- これまでの経歴を教えてください

大学が慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパスで、ちょうどその時代はインターネット黎明期でした。今や日本を代表するIT企業や実業家がサービスのデモンストレーションを大学で見せてくれたりと、とても面白い時代でした。大学卒業後は大学院に進むものの中退し、高校の教師を少しやり、教育系スタートアップで教室運営と教材の制作をやっていました。その後はBtoBの写真・映像制作で開業し30代に法人化、32歳から40歳まではサービス業の業務改善、経営支援のSaaS企業の取締役といった経験です。

- 前職ではどんな経験をしましたか?

前職はコンサルティングをバックボーンに持つメンバーが創業した会社です。理論的な背景としてはサービス・プロフィット・チェーン(※1)などサービスマネジメント全般、SECIモデル(※2)などです。多店舗を持つチェーン店に代表されるサービス業の従業員教育と店舗管理の仕組みとして、ユニークなコンセプトとデザインを持つシステムでした。

(※1)サービス・プロフィット・チェーン:従業員満足、顧客満足、企業利益の因果関係を示したフレームワークのこと
(※2)SECIモデル:従業員個人が持っている知識や技能(暗黙知)を組織的に管理し、必要に応じて形式知化したり、そこから新たな知を育むための枠組みのこと

前職での私の具体的な役割は、 今のSaaS用語でいうCSのオペレーション部門(CS Ops)、あるいはBPOチームと呼ばれる部門の管掌取締役でした。従業員教育に必要な動画を制作する部門のため、「コンテンツ」部門と名乗っていました。

それ以外だと、創業直後には顧客の要望やユースケースを集めてシステムの仕様にフィードバックをしたり、β版を引っ提げてフィールドセールスをしたり、CSメンバーがいない時代には顧客の導入支援とアカウント管理、会社が大きくなってくるとパブリックリレーションズ、新規事業、採用責任者といった順にやってきました。(2010年代の前半にカスタマーサクセスを名乗るチームが導入と活用の支援をする会社は少なかったですよね)

- iCAREに興味をもった理由を詳しく教えてください

なぜ前職を辞めたのか、という話からしようと思います。持論ですが、スタートアップの創業メンバーの取締役が辞める時は、すなわち役割を終える時だと思っていますし、ストックオプションはどんなに大きな持分であっても、それ自体は会社に残る理由にはならないと考えています。

私は20代で教育業と映像制作をやり、その二つの経験を掛け合わせてSaaSの創業に参加しています。当時はPMF(プロダクト・マーケット・フィット)なんて言葉は知りませんでしたが、これをマーケットに問うぞという事業仮説があり、プロダクトとサービスをゼロから創り、ある程度世の中に普及するまでコミットし続けるつもりで参画しました。

そういった価値観や経緯で働いてきたので、組織上の役割についてはできることを何でも引き受けていました。営業、顧客のオンボーディングと活用支援、PR、 採用、新規事業、という順番で、結果的に事業部の中の人から事業部を支援する立場になりました。外から事業部をみる立場で2年ほどやったときに、営業やCSの部門には私よりも遥かに優秀なメンバーが揃ってきて、「あ、私はそろそろ卒業だな」と悟りました。

同時に、ちょうど40歳になった。次はどういうチャレンジをさせてくれる企業があるかとも若干不安になりました。とはいえ、独立開業したりスタートアップに飛び込んだり、スタートアップを創業したりという、アウトローな道ばかり歩んできたのに、今更いったい何を心配しているのだと気づきました。「身体ひとつで何でもできるじゃないか、好きなことをやればいいのだ」と。それしかできない可能性もありますが(笑)

幸いにも、コロナ以降の日本では益々スタートアップ投資が活発で、贅沢を言わず、ほんの少しのリスクを負えば、仕事を選べる市況ではある。次のチャレンジは、前職よりも増して公共性の高い仕事、例えば医療や防災、食糧生産にかかわる仕事の中から探すことにしました。

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iCAREはとても稀有な会社だと感じた

- なぜiCAREへ入社を決めましたか?

iCAREはPRを通じて以前から交流があり、サービスの基本コンセプトや組織構成については知っていました。転職活動では10社以上の話を聞き、いくつかオファーを頂いたりしましたが、ほとんど迷わずにiCAREに決めました。代表も他の取締役も、言行一致、透明性を好み、自己開示を恐れない。判断と決裁が速く、かつマイクロマネジメントをしない。これは、若いメンバーのエンゲージメントを育てることができる社風だなと。内定を貰う前にその風土がよく伝わってきて、これは稀有な会社だ!と思いました。

転職には組織へのコミットメントやプロダクトへの共感のどちらも重要ですが、どちらの比重が重いかに転職者の職業観が反映すると思っています。私の場合は組織コミットに重きを置いており、社風と言われるメンバーの価値観や約束事を大事にしつつ、それをアップデートしながら、優れたサービスを作り続けられる組織を成長させたいと思いました。
プロダクトはよく作り込まれており、かつ開発部門も強い。ここであれば大丈夫だろうと思い入社を決意しました。

組織にコミットする気持ちで入社するので、最悪プロダクトに何かあっても事業部として何とかする。単価については、最大多数の最大幸福の視点で、お客様にとってリーズナブルな価格に揃えていく。これを責任持ってやろうと決めました。

ここでいうリーズナブルとは、ただ安いと言う意味ではなく、SaaSが全てのステークホルダーにとって望ましい経営を維持するための対価を、ユーザーが納得して支払ってくれる状態のことを指します。

サービス・プロフィット・チェーンではないですが、当社の経営とチームの状態が良く、カスタマーへの提供価値に然るべき付加価値が乗り、ユーザーに効果実感がある、という順番が大事です。カスタマーサクセスを誠実に実行すると、いわゆるお値引きによってサービスに対する不満を解消したりすることは、サクセスではないと気づくんですよ。iCAREの取締役とはその点で考え方が合いました。

また、他社に行かずにiCAREに決めた理由は一つではなく、合わせ技でした。まずプロダクトが良いこと、次に組織の状態です。どんな組織にも傷んだところや、合理的ではないレガシーさがあり、結果的に生産性の足を引っ張っていると思います。

スタートアップ2社と起業を1回経験したこともあり、組織には多少の課題や不合理な側面があった方が、組織改革や新陳代謝に必要な知的鍛錬の余地がある、言い換えれば経営者の学習機会があっていいと思っています。誤解がないよう言っておくと、iCAREの組織に大きな課題があると思ったわけではないです(笑)。トップから若いメンバーまで、自分たちのモチベーションの源泉がどこにあり、ワーク・エンゲージメントの課題がどこにあるのかをよく理解して、議論を交わしていた。いい会社だな、こういう会社は守らねばならないと思いました。

次に、コーポレート部門が強いこと。パワーやグリップ力のことではなく、CFO、財務経理、人事労務、採用、情シスのメンバーに、社内外のユーザーに向けられたホスピタリティがあり、気持ちが揃っており意思決定も仕事も速い。これはスタートアップとしてはすごい強みになります。そういった点でも魅力でした。

- 遠藤さんから見て、入社前のiCAREはどう見えていましたか?

入社する前はiCAREの組織の若さ、熱量、 開発のスピード感に極めてポジティブなイメージでした。 入社後は、やはりみんな悩んでいるなと感じましたね。具体的には iCAREのメンバーのようにホスピタリティや愛情の表現が上手な人々でも、やっぱりSaaSの分業の悪い側面、すなわち「縦割り意識」の兆候はあります。商流で言うと上流のチームの案件の渡し方に不満を持ったり、自分より下流の仕事に関心が薄かったり。そういう悪しき役割分担の芽は出てるなと感じています。

入社早々、私はiCAREの仲間に「歴史が答えを出すほどSaaSは長くないし、うまくいってる会社もそんなに多くないと思います。縦割りになってしまうなら分業はやめましょうよ」と言いました。

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私たちのサービスと組織が持続可能であることが、顧客のロイヤリティに先立つ

- まずは今のミッションを教えてください

まず経営方針として、CSをエンタープライズ顧客向けにアップデートするミッションがありました。私の入社後、既存のマネージャーやメンバーとワークショップや「合宿」を何度か実施し、目指すサービスの世界観を言語化しました。

顧客の支援をハイタッチ、テックタッチ、コミュニティタッチの3軸を組み合わせて実行する部門として、Customer Success & Account Developmentと名づけ、私がその責任者としてVPoCSとして就任しました。CS内のもう一つのチームがCS Ops(Operations)で、データ化、BPO、機能開発を担当しています。

-CSチームの未来について教えてください

未来ですか。そうですね。日本では二桁億円以上資金調達をしているが、ユニコーンにはまだまだ距離があるスタートアップはたくさんありますよね。すごくいい時代です。一方で「持続可能なSaaS」といえるサービスは幾つあるでしょうか。多くのSaaSが、低い解約率を評価されて資金調達していると思いますが、LTVを計算する際のライフタイムが100年以上、なんていう現実離れしたモデルを置いているケースもあると思っています。「カスタマーサクセス」を標榜して、手厚すぎる支援をしていませんか?と疑問を投げかけることは重要だと考えています。

こういった問いに対し、生き残ったSaaSや投資家は明確な答えを持っていません。まだ、正解のない業種だと思っています。また、答えを出せる会社は多くないと思います。多くのSaaSが、収益性を犠牲にしてでも解約率を低く保とうとしていて、サービスの維持コストが高くなる傾向があります。結果として、維持コストが高いためにCSの追加採用に躊躇したり、ハイタッチCSが顧客の満足を維持しているために機能開発が進まなかったり、という成長のボトルネックが生じていないでしょうか。言い換えると、調達した資金を十分に投資できていないSaaSが増えていませんか、と。

Carelyは非常に低い解約率が評価され、産業保健の経験や知識が豊富な専門スタッフがサービスを支えています。しかしながら、SaaSのLTVを最大化する視点では、CSのサービスの物量や頻度は顧客ロイヤルティを高める十分条件ではありません。当社のCSが無くても顧客の活用が進む、そういう時空間を拡張していかなければいけない。ハイタッチは必要悪、テックタッチは王道、コミュニティタッチが理想、と言うと世の中のCSの人たちは違和感を感じるかもしれませんが、本気でそう考えています。

カスタマージャーニーマップの終わりは、サービスに満足して買い続けていただく永遠の契約ではなく、顧客の円満なEXIT=解約なんです。「ライフタイム100年」のようなモデルを描いてそれを維持しようとすると、解約がとても恐ろしいことに思われてしまいますが、決してそんなことはありません。サービスの改善や価格改定の過程で、解約率が上昇することがあったとしても、大きな問題ではないと考えています。解約はカスタマーサクセスの一部であり、「SaaSと顧客の双方にとって良い解約」は悪いことではありません。

この考えはほぼサービス・プロフィット・チェーンの考え方なんですが、私たちのサービスと組織が持続可能であることが、顧客のロイヤリティに先立ちます。こういう議論をトップから若いメンバーまで巻き込んでできるiCAREは、SaaSとしてはユニークな組織だと感じており、これからがとても楽しみです。

- CSチームは急拡大していますが、どんな方が向いていますか?

大前提としてSaaSのビジネスモデルに強い関心がある方ですね。CS経験が無いということが当たり前で、むしろ法人営業の経験が必須です。フレームワークよりはフットワーク、知識よりは学習能力が大事だと考えています。産業保健分野で何冊か本を読んで頂くと入社後のイメージもつきやすいですが、特定分野の知識よりは、顧客の組織の多階層構造を縦横に行き来してボトルネックの解消のお手伝いができる、プロジェクトマネジメントのマインドセットが欲しいです。

法人営業で扱ってきた商材は必ずしもシステムではなくてよく、契約更新の概念があるかどうかが重要です。解約率をモニターし、2〜3年がかりでコントロールした経験があるかに重きを置いています。

これからのiCAREはとても面白いフェーズです。是非一緒に働きましょう!


ありがとうございました!
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※インタビューの際に、一時的にマスクを外して撮影を行なっておりますが、ヘルスケアカンパニーとして十分な感染対策を講じた上で実施しております。

文:採用人事 らびーこと溝呂木

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